【コラム】LORIER-ロリエ-ネプチューンⅣ。アンティークウォッチ好きのための実用時計

今回は、アンティークウォッチ好きである私の愛用時計を紹介したいと思います。
まさかの現行品
時計好き・アンティークウォッチ好きを自称していますが、私が所有している時計は2本だけです。
しかも、そのうち1本がアンティークウォッチで、残りの1本は現行品の時計になります。
そして、今回紹介するのは現行品の時計です。
アンティークウォッチの宿命
アンティークウォッチ好きではあるのですが、アンティークウォッチが好きだからこそ、アンティークウォッチを普段使いできないという方も多いのではないでしょうか?
これは主に、アンティークウォッチが「水や衝撃に弱い」ということに起因しています。
また、個人的には、何十年も大切に使われてきた時計を「後世に繋いでいかなければならない」という使命感もアンティークウォッチを普段使いしにくい要因となっています。
そこで私の場合、普段使いの腕時計は、防水性に優れた現行品となっているわけです。
ただ、そこはアンティークウォッチ好き。なるべくなら、アンティークウォッチっぽいものが良い。
そんな中、見つけた時計が今回紹介する時計になります。
LORIER-ロリエ-ネプチューンⅣ
LORIER-ロリエ-というブランド
LORIER-ロリエ-というブランドは、時計好きでも知らない方が多いのではないでしょうか。
それもそのはずで、LORIER-ロリエ-は、アメリカのマイクロブランドだからです。
用語
マイクロブランドとは、数百個単位で製品を製造し、BtoCで個性的な時計を販売する小規模の独立系時計ブランドをいいます。
・ニューヨークを拠点に2017年発祥のブランド
・アンティークウォッチ好きのオルテガ夫妻(ロレンソ&ローレン)により創設
・ブランドロゴは、勝利を意味する「月桂樹」
【ブランドポリシー】
■卓越したデザインであること
■名声よりも機能を充実させること
■着用される時計であること
私はこのブランドポリシーにとても共感しましたし、彼らは時計作りの年数が浅いながらも、しっかりとこのブランドポリシーを体現した時計を作っていると思います。
NEPTUNE-ネプチューン-シリーズⅣ
LORIER-ロリエ-の商品ラインナップの中で、私が選んだのは看板商品であるNEPTUNE-ネプチューン-です。
シリーズごとにアップデートされており、こちらはシリーズⅣとなっています。
この時計のモチーフはこれらの時計です。
LORIER 公式HPより引用
まさにダイバーズウォッチ好きの「好き」が集まっているのではないでしょうか。
結局今の時計はどれも、これらのマスターピースを模しているのではないかと思います。
そして、LORIER-ロリエ-はこれらのマスターピースをただ模倣するだけでなく、自社製品NEPTUNE-ネプチューン-としてうまく表現できていると思います。
ちなみに、私は旅に出たりすることも多く、急な雨などハードなシーンでの着用が多いため、200m防水のダイバーズウォッチが購入条件となっていました。
スペック
LORIER 公式HPより引用
【サイズ】
・ケースサイズ:39mm(リューズ含まず)
・ラグtoラグ:46mm
・厚み:12.7mm(ケース10.3mm+風防2.4mm)
・ラグ幅:20mm(テーパーで16mm)
【仕様】
・自動巻き(パワーリザーブ42時間)
・200m防水
・ステンレススチール(316Lマリングレード)
・ねじ込み式リューズ
・ソリッドバック
・120クリック単方向ベゼル
・スーパールミノバBGW9発光(青寄りの緑)
・ドームへサライトクリスタル(プラスチック風防)
ムーブメント
LORIER 公式HPより引用
ムーブメントは、ミヨタ90S5(ノンデイト、薄型、オープンハート仕様)です。
ミヨタは言わずと知れたシチズン傘下の汎用機ムーブメントのメーカーですね。
マイクロブランドでは、コスト削減のため、汎用機ムーブメントを用いますが、メイド・イン・ジャパンのムーブメントが搭載されているのは安心感がありますし、日本人として嬉しいです。
時計に興味を持って最初の頃は、エテルナのETAなど汎用機ムーブメントはダメだという偏見を持っていましたが、今では汎用機ムーブメントこそ至高なのではという気もしています。
「精度も良く、どこでも安く直せる」というのは、時計を長く使っていきたいと考えている人にはとてもありがたいことだからです。
ダイバーズウォッチなのでソリッドバックですから、ムーブメントの仕上げが簡素であっても何の問題もありませんし。
この点、LORIER-ロリエ-はうまくコストカットを行っていると思います。
(そうは言ったものの、ミヨタ90S5はオープンハート用の装飾もありミヨタ製品の中では高い方なので、製品原価に占めるムーブメント原価は結構高いのではないかと思っています。)
ただ、欠点を挙げるとすれば、ローター音です。
一方向に回転するローターが採用されているため、腕をシュッと振ると「シュルルルル―」というローター音が鳴り響きます。
この音が結構大きく、そして安っぽいです。
そこは気になる人は気になるかもしれません。
価格
価格は、499ドルです。
日本円(1$=157円)で約78,000円。
衝撃です。
ニューヨークからの輸送費用が追加されるので、実際の購入価格は10万円弱しますが、それでもかなり破格だと思います。
(針の仕上げなど、どうしても粗いと感じる部分はいくつかありますけれど。)
LORIER-ロリエ-ネプチューンのここが好き
その①デザイン
まずは、このデザイン。
私は一目惚れでした。
自分の中で、ダイバーズウォッチといえば、ロレックスのサブマリーナです。特に、アンティークのサブマリーナ。
黒文字盤にゴールドのレター。クリーム色の夜光。
そのディティールを上手く模しながら、サブマリーナにし過ぎていないところがツボでした。
アローハンドがベンツ針だったら、おそらく買っていなかったでしょう。
月桂樹のブランドロゴもシンプルでかっこよく、文字盤に不必要なレターが入っていないのが好きです。
アンティーク要素としては、近いものとして、Tudor(チューダー)のブラックベイ58やブラックベイ54が挙げられると思います。
違いとしてはもちろん価格です。チューダーが60万円前後する中で、LORIER-ロリエ-は10万円弱で買えます。
(当然ブランドの歴史が違うので、比較対象ではないとは思うのですが。)
そして、最も大きな違いが黒文字盤です。
チューダーがマットなブラックに対して、LORIER-ロリエ-はウェットなブラックです。
妖艶なミラーダイヤルといった感じで、ここが一番のお気に入りです。
ガラス素材のブラックのベゼルインサートと相まって無骨ながらも高級な印象があります。
その②サイズ感
次に、サイズ感。
腕周り17cmの私が着用するとこんな感じに。
ダイバーズウォッチにおける39mmというサイズは、自分の中では完成形だと思っています。
普段から小径好きの私ですが、ダイバーズウォッチはある程度大きくなくてはならないと思っています。
それはダイビング用という機能面からもそうですし、腕元が露わになる夏場にはどうしても目立つ時計をつけたいという気持ちがあります。
しかし、40mmを超えてくると、さすがに大きいなという印象があり、39mmというサイズが本当に絶妙だなといつも思っています。
先ほどのTudorブラックベイ58やぺラゴス39の人気ぶりからも、「39mmサイズのダイバーズウォッチ」というのは世界的にもある程度の評価を得ているのではないでしょうか。
特に、私はダイバーズウォッチをビジネスシーンでも着用しますので、スーツの裾に収まるこのサイズ感を重宝しています。
その③装着感
普段使いの実用時計として、装着感は重要です。
LORIER-ロリエ-の何が良いかと聞かれ、このブレスレットを挙げる方も多いのではないでしょうか。
こんなに滑らかで付け心地の良いブレスレットはなかなかないです。
ジュビリーブレスやライスブレスなどと比較しても遜色ない付け心地です。
ヘッドの重さとのバランスも良く、付けていてストレスが全くないというのは素晴らしいことです。
しかもこの価格で。
上手く作ればこの価格でもこれほどの時計が作れてしまうのだなと感心してしまいます。
その④無骨さ
無骨な実用時計となっています。
「ダイバーズウォッチなんだから裏スケなんかにしないぞ」と言わんばかりのソリッドバックが良いですね。
(サークル状の月桂樹はとてもおしゃれですが。)
基本的にサテン仕上げなので、傷はつけてなんぼだと思ってハードに使っています。
このでかいリューズ(ビッグクラウン)も操作性が非常に高く実用的です。
クラウンにブランドロゴの月桂樹が施されているのもポイントです。
バックル部分もそうなのですが、この月桂樹のロゴは向きによってはアローマークに見えなくもなく、ミリタリー要素もあるんじゃないかと勝手に思っています。
ここが「L」とかだと残念に感じていたと思います。
その⑤プラスチック風防
ブラック文字盤の次にお気に入りのポイントがこのプラスチック風防。
アンティークウォッチ好きですので、どうしてもプラスチック風防が良いんですよね。
肌触り、斜めから見た時の湾曲、指紋の付きにくさ。
一度プラスチック風防を経験すると、なかなかサファイアガラスには戻れない気がします。
ただ、これを「その①デザイン」から独立させて最後に挙げたのは、デメリットでもあるからです。
プラスチック風防は擦り傷には強い(磨けばいいので)ですが、強くぶつけて破損したときは面倒です。
この点どうしてもサファイアガラスの強度には劣ってしまいます。
LORIER-ロリエ-ネプチューンのデメリット
それほどないのですが、いくつかデメリットを挙げておきます。
その①修理の問題
汎用機ムーブメントを搭載しているため、ムーブメントの修理に関しては問題がありません。
ミヨタを扱える時計屋さんであればどこでもオーバーホールが可能です。
最悪、ムーブメントを新品に載せ替えてしまうのもありです。
問題は、その他の部品です。
マイクロブランドであるため、部品の供給はありません。
万が一メーカーがなくなってしまったときは代用部品が見つからず、修理ができない場合も考えられます。
目下においても、プラスチック風防が破損した場合に、メーカーに直接部品を提供してもらうほかありません。
そもそも、価格帯から考えると、「修理ではなく買い直してくれ」とメーカーに言われる可能性もあります。
そういった意味で、一生モノの時計としては成立し得ないと言えます。
その②購入時の問題
LORIER-ロリエ-の時計は、価格は安いのですが、玉数が少なくなかなか買えません。
現在は公式HPからの直接販売のみです。
先ほどのネプチューンは現在プレオーダー(事前予約)となっており、商品が完成し供給できるようになれば連絡が来るという流れになっています。
そういった意味では、人と被らずレア度が高く、アンティークウォッチ好きをくすぐるメリットともいえます。
ただ、並行店含め実店舗にはまず置かれていないため、手にとって確かめるということができません。
特に、重要である装着感というのは人伝えで確認するほかありません。
(そういった意味でこの記事が参考になれば幸いです。)
LORIER-ロリエ-のすすめ
いかがだったでしょうか?
LORIER-ロリエ-というブランドが、「卓越したデザインであること、名声よりも機能を充実させること、着用される時計であること」というブランドポリシーのとおり、素晴らしい時計を作っているメーカーであることが分かってもらえれば幸いです。
皆さんも、初めての機械式時計にLORIER-ロリエ-を選んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私がLORIER-ロリエ-を知ったYouTubeチャンネルを紹介しておきます。
LORIER-ロリエ-の時計を日本語で紹介している唯一の動画になります。
また、アンティークウォッチ好きにはたまらないチャンネルとなっていますので、是非ご覧ください。